今回の内房線D51快走は地元の人たちにも大きなニュースだと思います。お年寄りたちは昔を思い出し、子供たちは初めて見る「蒸気を上げ汽笛を鳴らす生きているD51」の勇士に驚き、そして私たち鉄道趣味人は胸をときめかしてその登場を待ちます。しかしそれぞれの立場によりその見方は異なります。「俺たち(鉄)は数時間も前から待ちわびているのだから後からきた者に邪魔されたくない」と思う気持ちはわからなくもありません。「鉄」の人たちはよく言えば撮影にかける情熱が強く悪く言えばいい写真が撮れれば周囲はどうでもよくなってしまう場合があるのではないでしょうか。(これは全ての鉄にあてはまることではないかと思いますが。)
ここで問題となるのは一般の人にはそれ(鉄道趣味人の情熱)がわからないのです。ここで大事なのは「理解できない」のではなく「知らない=わからない」のです。
それならば私たち鉄道趣味人間が、その鉄道にかける情熱を一般の人にわかってもらえるような努力をしようではありませんか.
私は職場でも鉄道に関係ない友人達にも「鉄」だということは隠しません。今日も会社で昼休みに昨日撮影した内房線のSLの写真を同僚に見せたりして盛り上がっていました。上司も「君は風邪をひいて休みはとらないけど汽車の写真撮りではよく休むねえ。でも病気になるよりはいいかあ」と笑いながら言ってくれました。
人によっては「鉄ちゃん」といわれたりマニアックな奴だと中傷されるのがいやで鉄を隠す人もいるかと思います。会社というものは利害関係の坩堝だと考えればなるべく自分というものを隠した方が仕事を進める上でいい場合が多いかもしれませんが。
しかしどのようなかたちであれ社会に対し、この素晴らしい趣味を理解してもらう努力は、しないよりしたほうがいいのではないかと思います。その方法はたくさんあると思います。
過日のことでありますが地元の爺さんが親しげに話しかけてきた時、
「私は夜明け前からずっとここでSLを待っているんですよ。」「ひえーじゃあおめえさんはこんなとこで5時間も待ってるんか、じゃあええ写真撮って帰らにゃ気がすまねえな。熱があがるなあ」と答えてくれました。そして家から焼きもち持ってきて差し入れをしてくれました。
私はその爺さんに「決して許されることではありませんが、鉄道の写真を撮る人のなかには熱が上がりすぎて畑(私有地)に無断で立ち入って農作物を踏みつけたり、猛スピードでSLを追っかけ無謀な運転をしたりして地元に迷惑をかける人もいるんですよ。」と言うと「まるでヨン様を追っかけるうちのおっかあみてえなもんだな。でも命はでえじにしてくれねといけねえな」と言ってくれました。
その爺さんはSLが来る数時間も前から寒さをがまんして待つ鉄の情熱に関心していました。理解してもらえたような気がしました。私は地元の人と話すことがどんなに重要なことかと感じました。
私の息子たちには鉄道写真を撮ろうとしている人たちがいたらその前には出ないで少しでもいい写真が撮れるように「どいてあげようね」と教えています。鉄道写真に限らず「記念撮影している人」、「釣りをしている人」、「夕日を見つめている人」がいれば邪魔にならないように気を遣う優しい人間に成長するのではないでしょうか。周りの状況判断ができる強い人間に成長するのではないでしょうか。それを子供にもそこで遊ぶ権利があるのだからとやかく言われるすじあいはないと言ってしまえばそれまでだし、それを頭ごなしに鉄が怒鳴れば両者の溝は深まるだけです。子供にも鉄の人たちの情熱を教えてあげることが大切ではないでしょうか。
私はビデを撮影もスチル写真とともに楽しんでいますが、周囲の音が気になる時には伸縮式の釣竿にガンマイクをつけ延長コードで前方にスルスルと伸ばし設置します。決して子供は怒鳴りません。子供はSLとの対面に興奮して歓声をあげるのは当然です。この方法(マイクの延長)はカメラのシャッター音の入り込みにも効果があります。こんな方法もあるんだということを知ればストレスも減るのではないでしょうか。
明日はSL撮影もお休みで家内と買い物でもいこうかと思っております。